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小林よしのりはかく語りき(旧ゴー宣・いきなり第3巻)
早速市の図書館で借りてきました、『変奇堂の漫画家』小林よしのりの旧・ゴーマニズム宣言第3巻。
本当は1巻から借りたいと思っていたのですが、いかんせん貸し出し中。

第3巻は1993年8月4日から11月3日にかけてかかれたもの。

この間僕達は何をしていたかというと
僕:この時僕は小学1年生。やんちゃ坊主で先生によく怒られていた。
  そして『マリオカート』にはまってましたなあ。
  (このときの先生が厳しいけどなかなか個性的な人。
  給食の時にいろいろなビデオを見させてくれました。
  『世界がともだち』『そしてトンキーも死んだ(先の戦争時の話)』『赤い鳥 日本名作童話シリーズ』『妖怪人間ベム』等。
  今思い返すとやっぱりいい先生だと思う。)

新井葉月:読みきり『ハリネズミのきもち』を描いていました。
      このときから薬剤師の仕事は行っていたよう。

浦沢直樹:漫画『YAWARA』がアニメ化され、結構名を上げていたようです。
      もしかすると、『ヤワラちゃん』というのはここから来た?

高橋留美子:『らんま1/2』連載中だったようです。
      ほか高橋留美子短編集として、『宝塚への招待』も描いてたとか。


おっと、前置きが長くなった。それでは分析へ。


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ドラマQ

この時点から、歯に衣着せない語り口。(人気の一因だったかも)
一種の下品さと、毒の強さはありましたね。
まあ下品といっても男女の局所の描写が多いという感じですが。
考えてみれば、毒というのは寿司の中のわさびのようなもので、適度に入っているとものすごい効くンデスよね。
わさびのない寿司を嫌う人も少なくないですし

さじ加減が難しいのですが、毒がいい塩梅に入っていたことが、ゴー宣人気の一因だったと思うのです。

そしてもう1つ、
ある程度読者に考えさせる『間』を与えています。

例えば『読者と一緒に考えていくのがわしのスタンス。』といっています。

後の『脱正義論』でも、
「わしを疑え。『いい年こいて被害者に鞭打つようなスキャンダラスな漫画を描いて平然としている暴力的漫画家』小林よしのりを特に疑え。
そして自分をしっかりと疑え。」


『戦争論』第8章のラストでも、国民は戦後教育で洗脳されてきたということを長々と述べた後、こう言っています。
「洗脳されている自覚はない?そうだろ、それが洗脳だ。
では、自分を疑う勇気はあるか?
もちろん、『そういっている小林よしのりこそが洗脳しようとしているのでは?』などと疑いながらでいいんだ。」


2ちゃんねるで『このせりふをもう一度言ってほしい』という投稿もあったようですから、おそらくこれも、ゴー宣が一世を風靡した一因といえましょう。
僕はこれが、ゴー宣ブームの最大の理由だと思うのです。
必ずしも論理的とはいえない、でも考えさせる間を与えるから、『ゴー宣』は売れていたと思います



各論
メインディッシュ、自主規制問題
皇太子様・雅子様のご結婚を面白おかしく描いた『蒲焼の日』が掲載拒否になったことをきっかけに、
『自主規制というファシズム』『報道の不自由』で自主規制を批判しています。
雅子様 (旧ゴーマニズム宣言・第3巻)

黒人描写の問題に関しても、ジャングル大帝が抗議を受けたこと、チビくろサンボ(僕が幼稚園の頃は劇もやってたんだけど)が発売禁止になったことを批判し、
「唇が分厚い、髪が縮れているといけないといわれているが、ギャグマンガだからデフォルメしないといけない。んなこといっていたらもう全員マイケル・ジャクソンっぽく描くしかねえじゃねーか!」
とまで言っています。
そして、
「マスコミはプロの誇りを見せ、理不尽な抗議と戦え!」
「差別や偏見をなくすために啓蒙していく場と、作品に携わる場とは明確に区別すべきだ!」
と言っています。

 まあ、漫画家の立場から言えばあまり規制してほしくないというのが本音でしょう。
ただ、ブラックジョークにも限度がありますからね。
 蒲焼の日は皇太子様・雅子様に読んでもらって苦笑してもらいたかったようです。
実際に見て笑ったかな?

黒人描写と差別に関して言うと、小林氏の意見には半分賛成・半分反対ですかね。
市民団体の抗議で『サイボーグ009』や『笑ゥせぇるすまん(当時は、“黒ィせぇるすまん”というタイトルだった。)』といったものがとばっちりを食らっていますし。
作品の幅が狭まってしまったのが否めません。(『黒ィせぇるすまん』のほうが作風に合っていると思うし)
ただ、これもあってか、黒人の唇誇張の描写はソフトになっています。
009の平成版アニメでの黒人描写もそうですし。

いただけなかった『中世時代ののこぎり引きの刑を、公開させよ』
山形のマット死事件のとき、被害者や学校側が『ばっくれと、いなおり』をしているのを受けて述べた意見です。
これは小林氏が5歳の時、豆菓子(と思ったかんしゃく玉)を盗んだ経験から
『罪悪感は生まれつきあるものではなく、学ぶもの』
という考えからきたようですが・・・。
見せしめの意味が強い上に残忍極まりない・・・子供にとってはショックが大きいっすよ。
のこぎり引き(旧ゴーマニズム宣言・第3巻9


まあ、悪人に対して血に血で報いる考えは、『八犬伝』や『かちかち山』の思想なのですが。
八犬伝で信乃と浜路を苦しめた養父母も、代官の機嫌を損ねて『十二分に苦しめ』られて殺されます。
最大の悪女の船虫も、八犬士によって処刑されるのですが、刀が穢れるということで牛につかされます。
このときの描写が、
『腋下より肩尖(かたさき)まで、串(つらぬ)き劈(つんざ)く怒牛の勢ひ、地獄の呵責を目前に、(中略)腹に奈美つ大叫喚、串るゝこと数番にて、やうやくに息絶し』
というからすさまじいです。

死刑の公開は・・・年齢制限をつけたほうがいいのでは?
のこぎり引き (旧ゴーマニズム宣言・第3巻)


女子高生売春と鈴木邦男氏との対談に見る『プロ』

売春 (旧ゴーマニズム宣言・第3巻)


売春に関しては『素人化・おニャン子クラブ化』を憂い
『小遣い稼ぎのような中途半端な覚悟でするな!やるからにはプロ(キャバクラ等)となれ!さもなければやめろ!』
といっています。
そうは言ってもなかなか従うものではないですけどね。
報道の自主規制に関して鈴木氏と議論した後も、
『わしも数年で才能をすり減らして無職・ノイローゼのやくざ家業を覚悟しているプロの漫画家。批判を恐れず報道し、意見を述べるのがプロのマスコミだ、鈴木氏の意見に同感。』
と書いています。
鈴木邦男氏と プロ(旧ゴーマニズム宣言・第3巻)


確かに理想はそうなんだろうな。
しかし現実は厳しいし、人間は弱いものですから、なかなかそうはいかないのですがね。

漫画家や小説家といったプロのもの書きも、『数年で無職・ノイローゼ』になるのを恐れて、安定した仕事と掛け持ちで行っている人もいますし。
新井葉月氏は薬剤師と兼任ですし、星新一はサラリーマンをしながらSSを書いていました。



僕が思うに小林氏は『プロ』でもあるけれど、『勝負師』でもあると思うのです。
毒の強い漫画を次々と書き上げ、カルトなファンとアンチを作り上げる人物。

手堅い新井氏とは正反対といっていいでしょう。

僕もいずれプロフェッショナルとなるのですが、それだけ厳しい覚悟でやっていったほうがいいでしょうね。
自分の気持ちに折り合いをつけるためにも。
(ちなみに小林氏は『脱正義論』のなかでも『プロになれ!』と言っています。)


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テーマ:小林よしのり - ジャンル:アニメ・コミック

【 2008/06/15 23:45 】

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