民主党政権の迷走のためか、『政治主導』そのものに疑問を呈する声が、あらたにすなどの投稿で出ている。
『官僚主導』でよかったものと。 だが、本当にそうだろうか。 僕は違うと思う。 行政組織のトップである閣僚が、仕事を官僚に任せッきりにしていいはずはない。 そもそも先の戦争も、軍部(ないし関東軍が政治家のコントロールから外れて暴走したために起きた。 もともと大日本帝国憲法では、軍部は行政ではなく天皇が直接統治するという構造的な問題もあったが。 組織は時として閉鎖的になり、本来の目的よりも組織そのものの目的や、構成員の心地よさを追求する組織になりやすい。 だからこそ、組織の外側の人間、民間人から選ばれた政治家(今は片山総務相のような民間閣僚もいるわけだし。)が上に立ち、組織内からの情報だけでなく、様々な情報をもって行政組織をコントロールすべきと考える。 (公務員は省庁によって引き抜かれるしね)。 ともあれ、閣僚といえど人間だから、なんでもかんでもできるわけがない。 では、どうすれば、よき政治主導が実現できるのか。 これは行政のトップである閣僚に限らず、会社社長などにも言えることだが、組織のトップには3つの役回りがあるという。 1.組織のコンセプトの決定(組織の目的を決める) 2.基本方針と情報の伝達(組織の大まかな目的、大雑把な組織図を伝達する) 3.総合調整(数多くの部局がある場合、資金配分と人員配分を信念に合わせて調節していく もちろん、あるときは一つの部局を小さくし、ほかの部局を大きくするような冷徹さも必要) そこから考えると、閣僚がすべきことが見えてくる。 まず必要なのは、 省庁のトップとして、何を重点的にやりたいか、何を組織としてすべきかを明確に発信すること。 公務員や学者先生のように細かーく考える必要はないけど、大雑把でいいからどの政策を一番重点的に行うか、何を第一の最終目標とするのかそれをはっきりと話し、発信していく必要がある。 次に、 最終目的に合わせた人事配分と資金配分を行うこと。 そのために閣僚には省庁の人事権も備えているのだから。 そして、何をやりたいのかに合わせて各部局の資金配分と人員配分も決める必要がある。 ある部局の機能を抑制し、他の部局に機能を集中させるという非情さも持ち合わせつつ。 (それを正確に、かつ効率的に行うためには政務三役だけではちょっと不足で、行政組織への政治家の増員も必要だと思う。) 加えて必要なのは、誰よりも熱心に行政の仕事をチェックし、フィードバックするために熱心に働くこと。 トップの『雰囲気』は下にも伝わるから、トップが熱心に仕事をしていれば下の気は引き締まるし、その逆だと緩んでしまう。 天下りがだめだとトップが口を酸っぱくして言えば、やっぱり官僚は慎むようになる。(法制化は必要と思うけど) 『重役出勤』なんて言葉があるけど、それではだめで、誰よりも早く出勤し、遅く帰宅して、常に官僚の監視とフィードバックに努めること。 この点で、民主党政権になってから政務三役が土日もなく、熱心に会議を行っている点は評価できると思うのである。馬力だけで評価できるもんじゃないと言われればそれまでだが。 (ちなみにうちの研究室の教授は、研究生達よりも早く朝7時ごろに研究室に来て、学部生たちよりも遅く帰宅します。) もう一つ付け加えるなら、閣僚は自分の管理する省庁に合わせて、民間の学者をブレーンとして雇うべきだと思う。 場合によってはブレーンと妥協し、時にはブレーンの意見を丸のみして、行政に反映させていくべきと考える。 閣僚がどんな政策を重点的に行うか、何に力を入れるか、つまり『何』をやるか大雑把な方向性を積極的に下に伝え、国民にも発信していくことが大事と思われる。そのうえで官僚が『どのようにして』やるかを考え、実行していくことが、よい政治主導となり、行政の力をフルに発揮できるものと考える。 P.S.ちなみに、国家戦略室の局への格あげ、首相補佐官を5人から10人に増員、官房副長官を3人から4人に増やすことなどを盛り込んだ政治主導確立法案は現在審議中。 詳しいことは、以下のリンクを参照してほしい。 政治主導確立法案(wiki) 政治主導確立法案(衆議院ホームページ) 野党がどう反論してくるかはわからないが、補佐官と官房副長官の増員、国家戦略局の格上げは何としてもとうしてほしい。局の民間人への登用も積極的に行って。 今回のおまけ 平原綾香 『アリエスの星』
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