先の参院選の一票の格差が問題となり、西岡参院議長が比例8ブロック制案を出した。
kojitakenさんも秋原葉月さんも比例派である。 僕も公務員試験で選挙制度に関して一応学んでいるから、復習するつもりで 適切な選挙制度について考えてみようと思う。 ・小選挙区制(今の選挙のメイン。議席数は衆院選で300、参院選で146) 一つの選挙区の中から一人候補者を選ぶ制度。 長所:二大政党制、あるいは大政党制維持に向き、政局が比較的安定する 費用が比較的安い(一つの選挙区に一人候補者を回せばいいため) 短所:小政党が当選しにくく、少数意見が無視されやすい 一票の格差が大きい 比例代表制(今の選挙のサブ。議席数衆院選180、参院選96) 候補者ではなく党を選択し、票数に合わせて議席の配分を決める方法。 候補者を選べる場合とそうでない場合、 票数を1,2,3・・・と割って議席数を決めるドント式(大政党向け)と、1,3,5・・・と割って決めるサン・ラゲ式(小政党向け)がある。 長所:一票の格差が小さい 小政党が当選しやすく、少数意見が現れやすい 短所:小党が乱立しやすく、政情が不安定になりやすい(八党連立であった細川内閣も簡単に連立が崩れた) 費用が高い(すべての候補者を全国に回さなければいけないため) 中(大)選挙区制(かつて行われていた制度。イスラエルなどでは今でもこの制度を取る) 一つの選挙区から複数当選者を出す制度。 長所:一票の格差が小さい 小政党が当選しやすく、少数意見が現れやすい 短所:同士討ちが起きやすい 費用が高い 日本の場合、かつては中選挙区制であったが、自民党の複数の派閥がそれぞれ候補者をだしていた。 そのため、選挙での勝利のため各派閥が資金集めに奔走し、カネにまつわるスキャンダルが続発。(ロッキード、リクルート、佐川急便など) それを解決する目的で、1993年の細川・羽田内閣において、小選挙区比例代表並立制が導入された経緯がある。 どの制度であっても、ある程度資金力がないと勝てないのは確か。 それにある程度費用をかけないとだめ。 (今日はネットもあるけど、やっぱり直接会ってコミュニケーションを取ることほど強いものはない。 フェイス・トゥ・フェイスで政見と人柄がわかる。) 去年小政党がちょこちょこ出たことを考えると、やはり日本に二大政党制は合わないのか。 菅総理や小沢氏の目指す『イギリス流二大政党制』からは遠くなるが、 参院は比例一本、衆院は選挙区を残しつつも比例中心 がいいかもしれない。 あるいは、衆参の議院の質の違いを際立たせるため、 衆院は小選挙区一本、参院は比例一本 という手もある。 このどちらかが理想だろう。 くどいようだが何度も、『激情家』を自称した。 一番激情を向けるべきは、人間そのものだと思っている。 そもそも人間ほど愚かで、 人間ほど弱くて、 人間ほど邪悪な生き物はいない。 強欲なくせに怠惰で、 恐怖に弱いくせに無鉄砲で、 自分の利益を正義と信じやすくて、 人の評判を気にするくせに嫉妬深くて、 『無私の英雄』を待望するくせ自分は利害損得で動いて 一人になると弱いが数を頼むと大胆だ。 そして、僕も人間。 自分自身にも刃を向けてやっていこうと思う。 今回のおまけ 星新一ショートショート『アフターサービス』
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このエントリは、選挙区と比例区について、 それぞれ利点と欠点の両方に言及されていますね。 小選挙区のすぐれたところは、議員の自立性が 高くなることではないかと思います。 候補者が自前で支持基盤を作ったほうが 有利になるので、党に頼る部分がすくなくなり、 党の拘束を受けにくくなってきます。 つまり党の方針や政局にかかわりなく、 議員が自分の政治理念を貫きやすくなるわけです。 比例区は候補者の順位を政党が決めるので、 選びたい候補者を直接選べない、という問題があります。 政党にとっても、自党の候補者に順位をつけるという おおよそ楽しくない作業が出てきます。 すくなくとも、比例代表に参加する政党は、 党内民主主義がじゅうぶん確立していて、 党員にとっても有権者にとっても 納得できる順位付けができる必要があります。 中選挙区は、得票率が10数パーセントで当選するので、 組織票を堅めると、浮動票を取りに行く必要が ほとんどなくなります。 なので、組織優先、民意後回しになりやすく、 「民主的」とは言えなくなりやすいです。 衆院で小選挙区オンリーというのは、かなり無茶です。 やはり死票率が高くなるからで、とくに選挙基盤の弱い 新人候補者の当選がむずかしくなります。 比例との併用はどうしても必要だと思います。 比例の定数を100まで減らしたい、というのは、 比例を復活当選専用にしたいからだと思います。 選挙区300に対して比例180はまだ多く、 100くらいなら妥当だと考えているのでしょう。 それから、日本の民主党がめざしている 「二大政党制」はイギリス型ではなくアメリカ型ですね。 つまり、政党の枠組みはあるけれど、 議員の自立性が強く、「ひとり一党」くらいに 見なすこともできる、というものです。
たんぽぽ * URL
[編集] 【 2011/01/08 13:41 】
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たんぽぽさん、コメントありがとうございます。 菅総理は政権交代直前、しばしばイギリスに行って政治主導の方法や二大政党制について勉強していると聞いたんで、イギリス流かなと思ったんですけどね。(そのイギリスも第三局の政党が最近出たみたいですが) 比例代表は少数派の意見が取り入れられやすいという利点があると前々から聞いていましたが、なるほど、そういう欠点もありましたか。(候補者の名前をかける制度もあると聞いたけど) 自立性、か・・・。 ただ、地盤を固めるのは大事なことですが、強すぎると世襲議員が当選しやすくなってしまうものかと。 地盤や看板・カバンのハンディを持つ世襲の制限を、党だけではなく国民全体で考えるべきかもしれませんね。
--- 世襲議員誕生のメカニズム ---
世襲議員が生じるゆえんについては、 前に調べたことがあったのでした。 興味がありましたら、ご覧いただきたいと思います。 http://taraxacum.seesaa.net/article/125765522.html http://taraxacum.seesaa.net/article/125983889.html
たんぽぽ * URL
[編集] 【 2011/01/12 22:43 】
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