八犬伝考 その2。
今回は、孝の犬士にして前半の主人公・犬塚信乃について語りたいと思います。 なぜ、孝の犬士が主人公なのか? それは、江戸時代の人々にとって、『孝』が一番身近な美徳だったから、と僕は考えています。 ![]() ![]() にほんブログ村 ![]() ![]() ドラマQ 彼は、結城合戦で足利一族に味方した犬塚番作を父として、武蔵国(現代の東京都)の大塚村で生まれます。 村長の娘である浜路(はまじ)という許婚と、兄妹のように育ちます。 結城合戦で関東管領である上杉家に奪われそうになった宝刀・村雨丸(むらさめまる)を足利家に返し、古河(現代の茨城県)にいる足利家に仕官するよう父に言われる信乃。 しかし、村雨を奪おうとした腹黒い村長夫婦の罠にかかり、番作は詰め腹を切らされます。 父の死を無駄にしないために、浜路の求愛を拒み、村雨を足利に献上するため旅立つ信乃。 (信乃も浜路を思っているかというと、そうでもないらしい。これは後述します。) しかし、出発の時に村雨がすりかえられ、それに気づかず偽の村雨丸を足利家に献上し、暗殺者と疑われる羽目になってしまいます。 (道中、一度も中身を確認していないのは、何と言うか・・・・。) さらに浜路も、奪われた村雨丸を取り返そうとし、殺されてしまいます。 足利の追っ手から逃れた信乃は、丶大(ちゅだい)という僧侶と出会い、自分が里見家を救う八犬士だということを知り、他の犬士たちと一緒に、安房の里見家へと向かいます。 原作の信乃 信乃は11歳まで、女姿で育てられています。 これは当時、『男子を女装させて育てると、丈夫に育つ』という迷信があったからだそうです。 周りからは「男なのに女装して」と、白い目で見られていました。(ちなみに本人は気づいてない) それもそのはずで、信乃は9歳で『骨たくましく膂力(筋力)あり』 18歳で『身長五尺八九寸(約176cm。現代の18歳男性の平均体重は171?だから、少し高い)』と描写されるほどでしたから。 もっとも夢を壊したくないのか、漫画では中性的に描かれていますし、映画やドラマでは二枚目役者が演じることが多いのですが・・・。 性格は生真面目で、文武両道。 奇才の若人と言われるほど・・・なのですが、どこか抜けています。 『道を歩けば犬のウン○を1つ2つ踏みそう』と評されているほど。 先に述べた村雨丸盗難のほか、犬を馬代わりに乗り回す等、抜けっぷりは多いです。 アインシュタインは、戸籍登録の際に自分の名前を忘れて、その日登録できなかったといわれていますが、その類でしょうか。 ま、天才と馬鹿は紙一重、と言うところかな。 そして、女性に極めて冷たいんですよね。 古河出立の前夜、浜路が信乃恋しさに夜這いをした時に言った言葉は 「李下に冠を正さずというではないか、早く戻れ」の一点ばり。 浜路に対して冷たいことを親友がとがめると、彼はこういうんですね。 「女性は水のようなもので、心移りが早い。自分がしばらくいなければ、自分を忘れて別の男を好きになるだろう。(僕の意訳)」 (実際の浜路は移り気などころか、ひたすらに許婚のために操を立て、死んでいくのですが・・・。) この女性に対する冷たさと、大望への異常な執着から、ハムレットと比較する評論家もいます。 (ハムレットも恋人オフィーリアに対し、「尼寺へ行け! お前の美しさは、お前の貞淑を淫奔に変えてしまう。尼寺へ行け!」と突き放しますし、「弱きもの、汝の名は女!」と決めてかかります。) 結構長くなりましたので、映像作品の信乃に関しては次回、語ります。
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[編集] 【 2008/03/22 17:09 】
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