まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたえしは 薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり わがこころなきためいきの その髪の毛にかかるとき たのしき恋の盃を 君が情に酌みしかな 林檎畠の樹の下に おのづからなる細道は 誰が踏みそめしかたみとぞ 問ひたまふこそこいしけれ 島崎藤村『初恋』 僕は自慢じゃないが、彼女いない歴23年。 大学や大学院に行ってからは、あんまり女性に惚れるという事もなし。 まあ、しばらくはそれでいいとは思っています。 なにしろずっと自宅通いで、身軽に旅をしたいといつも思っているし。 それにこんなあくの強い性分じゃあ、相手が自分を好きになりますかねえ。 初恋とはいかぬまでも、それに近い感情を抱いたことはある。 大学2年の頃、ホームヘルパー2級を取るための講座を受けている頃である。 講座受講中に隣に座った隣の女の子と、休み時間中にいろいろと話したのだ。 まあ、あまり自分が『無口な人間』と思われたくなかったこともあるが。 その子は僕と同い年だけど、学年は一つ下。 文学部に所属していて、将来海外に渡り、アフリカの発展途上国の子供たちを助けたいと言っていた。 ちょうど僕は薬科大の勉強に行き詰まり、サークル活動も精が出ず、ふらふらしていた感じで。 大きな夢を持っている彼女がうらやましかった。 ホームヘルパーの実習を行うと、彼女はてきぱきとやっていた。 やはり一人暮らしをしている分だけ違うか。 さて、その頃ジブリ映画『ゲド戦記』がかなり酷評されていて、講座の仲間もずいぶん話のネタにしていた。 僕もロマンアルバムを読んで、大体のストーリーをつかんだ頃なので、ちょっと切り出してみると。 「酷評されているみたいだね。そういえば『ハウルの動く城』もストーリーが最後わからなかったし。」 その後にそれぞれの好きな映画の話をした後、(よく覚えていないが)彼女は自分の気になる映画の話をした。 「SPIRITさんは、『ホテル・ルワンダ』って知っています。 紛争に巻き込まれた難民を、周りからの圧力にも負けずに助けたあるホテルマンの物語なんですって。 非常に感動すると思いますよ。」 『ホテル・ルワンダ』は、ルワンダの民族紛争の中で生じた難民を3万人助けた、ホテルマンの物語。 『アフリカのシンドラーのリスト』と言われているとか。 あの人がこの映画を教えてくれてから3年。 初めて借りて、見てみることにした。 あれからあの子は、どこで何をしているだろう。 もうアフリカにわたっているのだろうか。 今回のおまけ ホテル・ルワンダ 予告編
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