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浦沢直樹のコミック『PLUTO』の話。
プルートウに一度殺されたアトムは、志半ばで倒れたゲジヒトの記憶チップ(天馬博士いわくゲジヒトの『魂』)を入れられることで復活する。 基本的には
『ゲジヒトの偏った感情を注入されたことで、アトムのシミュレーションの混沌が統一され、目覚めた』
ということらしい 。
ただ、アトムの人工知能はゴジには劣っていたはず。 なぜシミュレーションをする必要があったのか。なぜ偏った感情によって目覚めたのか。
アトム誕生からさかのぼる。 アトムは、事故で亡くなった天馬博士の息子・天馬飛雄を模して造られた。 この時の誕生がどうだったかはわかっていないが、おそらく同じような混沌で目覚めることができなかった可能性は高い。そんときに天馬博士の偏った感情を注入されたと推測できる。 ただ、この場合矛盾するのは、天馬博士の感情を注入された場合、アトムは非常に影のある性格になったと考えられるが、目覚めたアトムは、明るく、そして模範的性格の持ち主であったということ。 (ただ、ゲジヒトの憎しみを注入されてからは影が強くなっている。) 性格が模範的すぎて飛雄からは程遠くなり、天馬博士に捨てられる運命なのだが・・・。 いずれにしてもこの事実から、はじめてつくられた時はシミュレーションで混沌が起きなかったとみていいだろう。
その後、サーカスに売り飛ばされ、様々な人間にふれあいもまれていく中で、人間の感情を理解するようになる。 おそらく会った人間の感情と人格を記憶チップに刻み込み、容量が増えて行った。 ゴジのように60億とはいかずとも、人工知能が無限のシミュレーションに陥る確率が高くなったわけだ。 そしてゲジヒト達様々な人々の深い悲しみと挫折に触れ、その容量が大きくなった。
プルートウに殺され、電子頭脳のデータをバックアップするとき、その容量に処理能力が追い付かず、無限のシミュレーションに陥った。 そこで偏った感情を注入され、人格と記憶の混沌が、ゲジヒトの人格と記憶に統一され、目覚めるにいたった。 (その副作用として、地球破壊爆弾の作り方をはじき出すにいたる。) このように考えられるが・・・本当のところはどうだろう。
いずれにしても、天馬博士の言葉
『最高の人工知能は作るものではなく、育つもの。 深い悲しみ、挫折が電子頭脳を育てる。 間違う頭脳こそが完璧。』
の伏線の結晶が、ここで実ったといえよう。(キカイダーを思い出すなあ・…。) これは人間にも言えることだろう。
今回のおまけ 久々の青と赤編
神八剣伝 第20話 『コウたち、過去へ走る』
らき☆すた 第20話 『夏の過ごし方』
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