1993年に放送された野島伸司脚本のドラマ『高校教師』を知っている人も少なくないと思う。
このドラマの主題歌に選ばれたのが、シンガーソングライター・
森田童子の
『ぼくたちの失敗』だった。
ぼくも親と一緒にこのドラマを見ているが、内容に関しては全然記憶がない。
ただ、森田のCDを借りたとき、親が『ぼくたちの失敗』以外の曲を聴こうとしなかったことだけは記憶している。
ぼくはなにもわからないから、あっけらかんと聴いた。
物悲しいが、とてもきれいな曲で印象に残っている。
森田童子は学生運動やら何やらで大学を中退し、その後シンガーを志したものの(友人の死がきっかけらしい)
カーリー・ヘアにサングラスというスタイルで、コンサートはもちろんレコードのジャケットなどでも素顔を見せることはなかったという。普段も寡黙で、独特の世界観を表現した作品に自分の生活感を滲ませることを避けていたとされる当たり、結構繊細な性格だったのかもしれない。
デビュー時代は特にヒット曲を残せぬまま引退するものの(本人もメジャー化を望んでいなかったらしい)、1993年の『高校教師』でこの曲が使われ、再び注目を浴びたとか。
ギャラは結構入っただろうけど、多分彼女自身、目立つのを嫌っていただろうから、複雑な気持ちだったに違いない。
その後も2003年にリバイバルされるが、何度も自分の曲を多用されるあたり、どう思っていたのやら。
今は主婦となっているらしいが、近しい人の死と持病で活動は再開できないらしい。
それはそれで彼女の生き方かも。
風のように現れ、風のように去った森田童子。
シンガーとして歌って、そして今まで生きてきてよいことがあったのだろうか。
ドラマの最終回の舞台となった青海川駅へ行きたいと切に望みながら、この大ヒット曲を聴くのである。
今回のおまけ森田童子 『ぼくたちの失敗』