天下を取った秀吉は、だんだんと人たらしの性格が鳴りをひそめる。
鶴松を溺愛した揚句、片腕であった千利休を煙たく思い始め、ついには処刑することに。
ともあれ、どうして秀吉が利休を煙たく思い始めたのか、プロセスが書かれていなかったことが残念だな。
もともと派手好きの秀吉と、わび・さびを好む千利休は水と油とも思えたけど。
お涼によれば、利休は見せしめで殺されたらしい。
それはちと・・・と思うが、考えてみれば、天下を取って、秀吉はだれも信用できなくなったのかもしれない。(権力者の孤独である。)
なおかつ子にも恵まれず、しかもそばでは利休が力をつけ、ああせいこうせいと口出しをしてくる・・・。
利休を処刑することで脅威をそぎ、なおかつ自分の精神も安定させるという、屈折した意図があったのでは。
ともあれ、父を失ったお涼が気の毒である。
そうした恐怖もあってか、あるいはお船に動かされたのか、菊姫は人質として京に上ることになる。
ともあれ、子供もいない中で一人で人質に上るのはつらいだろうな。
しかし『命令である、京に上られよ』という景勝もどうかと。
口下手だからうまく気づかいを言い表せないんだろうな。
親から僕に「口下手は駄目」とダメ出しが…。
僕も口下手だから、景勝に共感できなくもないんだけど。
景勝のように口下手で不器用な人間もいれば、口先三寸で小賢しく立ち回る人間もいる。
権力者は孤独でも、いや孤独だからこそ、自分の心境に合わせて接近する後者を重用するんだろうな。
今も昔も。前者が後者に勝つには『実力・馬力・成果』を見せないといけないような気がするが。
家康の家臣・大久保彦左衛門は『狡猾・卑劣に立ちまわってまで知行を望んではならず、たとえ飢え死にしても不器用にぶつかるのが大久保家の家風』と言っていたけど。
今回のおまけ
天地人講座 其の弐 上杉景虎──10の謎