バッシングは今も昔も同じ? ゴー宣・第6巻
ゴーマニズム宣言〈6〉 (幻冬舎文庫)ゴーマニズム宣言〈6〉 (幻冬舎文庫)
(1999/11)
小林 よしのり

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いつの時代も有名になると、批判やら揚げ足取りやらが来るのでしょうな。
ゴー宣も第6巻に入ると、さまざまな批判を受けるようになります。(週刊文春や週刊現代・サンデー毎日等。合計すると310万部ぐらい)
裏を返すとそれだけ有名になったと言うことでしょうか。自分はカリスマを自称しているし。
カリスマ=北の将軍?


第6巻ではすが秀実氏(当時は絓秀実氏)と永尾カルビ
氏に再反論を行っています。

すが秀実氏

すが秀美氏にも『小難しい』と批判しているのですが、それ以上に『チンカス』『アマチュアの匂う半端なプロ』と批判されているのが永尾カルビ氏。
永尾氏も
『小林氏のノー天気な痴呆顔をみるにつけ』
『たかが漫画なのに、「日本を変えてやる」というとは、猛暑も罪なもんだ。
1人市民運動は飽きたから、もういいよ。』

などと書いています。
小林氏どころか読者やブレーンにとってもこの批評はボロクソで、
『話にならない、へそ曲がりの駄文を商売にするクチ』(部落解放同盟代表・みなみあめん坊氏)
『まんまイソップ物語の「狐とブドウの話」
(注:手の届かないブドウに対して狐が「あれはすっぱいから食べないんだ」と言った話。)』

『凡人なら凡人らしく、他人を認める能力を身に着けろ。』

と言われる体たらく。
同じことは『サンデー毎日』でやくみつる氏も言っているようですが、こちらはあまり批判されていません。
当時同じ『SPA!』に書いていたと言うこともあるでしょうが、
やくみつる氏が書き出しでl、

「今、週刊『SPA!』の小林よしのり先生の『ゴーマニズム宣言』が売りで、部数も順調に伸びていると聞き及んでおります。(中略)
ところが最近、その小林先生に対して、
『最初はよかったけど、単なるゴーマン野郎になってきた』とか、
『「ゴー宣」が売れてきて勘違いしているのでは?』とか、
その手の悪口を耳にいたします。
何しろ小林先生は『SPA!』を背負って立っているのですから、頑張っていただきたいと心配している次第です。(以下略)」


と、言葉を慎重に選んでいるのに対して
永尾カルビ氏は

『ほどよく、叩きごろである。
見ごろ食べごろ笑いごろと言ったのはキャンディーズだが、
小林よしのりは今が見ごろ食べごろ叩きごろである。(以下略)』


と、書き出しからしてがからかい半分。
逆を言えば、
『中途半端な覚悟で人をからかうと手痛いしっぺ返しにあう』ということでしょうな。
まあ小林氏自身、「耐え抜けば松田聖子やビートたけしのように、その人の価値観が不動になる」と言っていたが、小林氏はどうだったか。
小林氏も歴史問題ではこんな『茶々丸』っぽくなってるし。
茶々丸君のこと



ちぐはぐな内閣
政界花いちもんめ

政策でも理念でも水と油の社会党(現社民党)自民党
55年体制からこっち、与野党としてずっと対立してきましたが、この2つが連立を組んだことがありました。
村山内閣橋本内閣のこと。
これを皮肉ったのが、『政界花いちもんめ』

小林氏は自民党でも社会党でもそれなりの力のある人間には、インタビューしたり、持ち上げたりしているんですけれどもねえ・・・。(石原慎太郎氏や小森龍邦氏など)
『民主主義は妥協の産物(金丸信)』とはもうせ、政策ないがしろにして連立を組むのはどうかと、ということでしょうな。
当時は『庶民に優しい人』『金持ちに優しい人』も
小林氏、どちらも受け入れているみたいですし。


・これって開き直り?
わしは美しいナルシスト

今もこの当時も(噂の真相等)

「小林氏がかっこよく描かれすぎ」
という批判は多かったらしいが、佐川一政氏との対談で
佐川氏の似顔がひどいと言う批判を受けたのをきっかけに

「人は自分の顔には大なり小なりナルシズムがあるんや。
わしもナルシスト、あんたもナルシスト、みんなナルシスト。
この漫画に出たものは選ばれた者だから自慢しろ!」
7

と、開き直った発現をした話。
佐川一政氏

上が似顔なのですが、それほどひどいとも思えないなあ・・・。
聖人列伝の故・渡辺美智雄氏(渡辺喜美氏の父)もひどい顔だし。
渡辺美智雄氏(ミッチー)

まあ、時が経つに連れてそれはどんどんひどくなってきた気もしますが。

もともと、

『主人公は親しみやすく、(カッコイイ・可愛い)
脇役は思い切り個性を強く』


というのは、漫画の常套手段なんですけどね。
この当時は、綺麗に描かれている人も不細工に描かれている人も、それなりに個性があった。
それがどんどん薄れ、単純な『いい奴と悪い奴』に分化してきているんですよね。
加えてゴー宣のテーマもどんどんマニアックになってきていますし。
それが没落の原因のひとつかも。

・左派的な面も、封建的な面もあり。
ミスコン反対運動批判では、小林氏の封建的なところも見つけられます。
ついでに、ミスコン反対物差し音頭もこき下ろしてますが。
ミスコン反対物差し音頭

・・・この音頭には僕もあきれた。別に本人達が楽しめればいいじゃないか。

小林氏はおじいちゃん子で、祖父が封建的だったからこそ、こういう一面もあるんだろうな。
(父は星一徹のようなタイプがすき、とも言っているし。)
封建的な面と民主的な面を両方持つ小林氏のバランスが、当時としてはうかがえます。

今回のおまけ
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【 2009/04/11 19:47 】

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ジャーナリズムとしてのゴー宣 ~旧ゴー宣・第5巻~
ゴーマニズム宣言 (5) (幻冬舎文庫)ゴーマニズム宣言 (5) (幻冬舎文庫)
(1999/07)
小林 よしのり

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さまざまなブログを見ていると、『ゴーマニズム宣言をジャーナリスティックな本として読んでいた』という投稿が多々あることに気がつきます。
それはなぜでしょうか?

小林よしのり氏自身はジャーナリストを自称していないんですよね。
ただ、現場で部落差別や薬害エイズの情報を発信しつつ、川田龍平さんや小森義邦氏と言った重鎮とも知り合ったのですから、その面はあると思う。
ただ、敵対する人間を醜く描くところがあるからな。
(主人公の小林氏もかっこよく描かれすぎ、と言う批判もあったし、まあ第6巻で開き直ったような発言しているけれど。)
そういった欠点があるにもかかわらず、多くの人たちがジャーナリスティックな本として読んでいったのはやはり、この啖呵があるからでしょうね。
「わしが選択した、見た、感じたエピソードが本物だからだ!これこそシラケ主義的なニヒリズムから脱却する方法だ!」
そしてなにより、判りやすい。
例えば第6巻で、自民党と社会党(現・社民党)の野合による村山内閣が誕生したことを取り上げたときも、
『野合』を『花いちもんめ』とわかりやすく、なおかつ面白おかしく表現しているし。
だからこそ、難しい本などを嫌う若者達をひきつけたのではないかと。

劇辛評論家・佐高信氏
後に破防法問題や歴史問題などで対立する佐高信氏ともこの頃会います。
佐高氏が小林氏に対談を求めたということからも、一目おいていたということがわかりますし、小林氏も反抗精神の点で好感を持っていた。
『愚民に優しい』『社会の母親』と言っていますし。
(ただし、『彼は社会主義を捨ててないようだが、理想の選択の向きが間違ってないかは疑問』ともいっていますが。)
佐高信
対立が激化したのは、『噂の真相』が小林氏を取り上げた頃からでしょうね。
別の機会で詳説しますが、これで小林氏は『おぼっちゃまくん』時代からの片腕であった末永秘書を失ってしまうわけですからね。
かたや佐高氏はこの雑誌のジャーナリズムには一目置いていたようで『噂の真相を立てれば小林氏が立たず、小林氏を立てれば噂の真相が立たず』と言っていたよう。
この煮え切らない態度を小林氏に批判され、対立が激化したようです。

ただ調べてみると、佐高氏も激辛評論家と言われるだけあって、結構あくの強い人柄のよう。
現場で問題に取り組んでいるところも、小林氏に似ているかもしれない。
今は雨宮さんと組んで、非正規労働者や正社員のストライキに混じることがあるようですが。


石原慎太郎氏との対談
『人気絶頂期に小林氏は出馬してもよかったんじゃ?』と思ったことがありました。
この疑問はこの巻で答えてくれています。
「時代を変えようとする時に、制度から変えるか人心から変えるかと聞かれたら、人心から変える方を選ぶ。漫画は相当威力があるだろう」
とのこと。
そんな折に入った石原慎太郎氏(当時は国会議員)との対談で
「わしは漫画家としてナンバーワンになりたい男(『ベストセラー1位でなきゃ駄目』ともいっているし。)
しかしもし政治家になるとしたら、権力者、いや独裁者こそが理想だ!!」

とも言っています。
そういえば第2巻の金丸信の独白でも
「政治家になって、権力を握って、国を動かすことなくして何の意味がある!?」
と書かれてあるから、これは小林氏の政治家観と言えるかも。

ところで、石原氏はというと
「自分の設計どおりにものが動いていれば、黒子でもかまわない。」とか。
まあ、バランスが大事なんでしょうね。哲学と上昇志向と。
ともあれ、『大なり小なり自分自身がかかっているのが本当のメッセージ』と言う意見は合ったようで・・・。
そういう意味ではネットの書き込みはやっぱり本当のメッセージといえないのかもしれない。
顔が見えないし。

この頃手にしたのか、『凶器』は!?
この巻では当時売れっ子だった保守派論客・西部邁氏の悪口を書きまくった『祐木奈江より西部邁をいじめろ!』ものっけてあります。
当時『朝まで生テレビ』という討論番組が最盛期で、西部氏はしばしば出演して、衆愚論・国際貢献・平和ボケ論者批判を述べていたよう。
もともと小林氏は西部氏に好意を持っていなかったようで、しばしば醜く描いているようですが、今回は極め付きと言いましょうか。
(その後仲良くなったり対立したりしているようですが。)
西部邁氏

上杉聡氏はこの手法を『凶器』といっています。
まあある人によれば、エンターテイナーとしての手法ともいわれていますが。
実際この話を載せたとき、批判はあった。(同巻で)
>『こういった絵を描くのは批判ではなく、人を馬鹿にして笑って楽しむだけのものである。正当な攻撃ではなく明らかに描いたほうが悪い』ただ小林氏は
『今回は彼の宣伝にもなっていたのではないか』
『もはやニシベは漫画のキャラとして独立している』
『西部自身の天性の道化の才能をよしりん(小林氏の愛称)が引き出した』

と言うコメントも載せ
『頭の固い器量の狭い奴』『ホモでもないのに過剰にヒスを起こす、衆愚リアリズムな愚民』と言ってしまっていますが・・・。
多くの若い人たちは、西部氏を知識人としてではなく、タレントとしてみていたと言うことか?

これを書くことになったきっかけは、西部氏が漫画を読まないと知ったことと、若者のこんな投書らしい。
『西部さんは子供の感性のまま大人になった人、人間のいんちきさがわかるから平和主義者批判をしているのだ』
『西部氏の言っていることはわかるし結構好きなのだが、攻撃されるのを見るのも好き。
彼は攻撃されるにふさわしい。(中略)彼の言っていることはすぐに抑圧に結びつきそうだから、それを相対化することが大事。』

・・・なんというか、愛情の裏返しでいじめる・攻撃するということか?
知識人の西部氏だからこそ、弱点を見つけてみたいと言う心理が多くの若い人にあったのでしょうか。
15年経った今でも、特に若い人たちにそういうところがあるからな。(『いじる』というらしいが)
僕も内向的だけど、結構かまわれてるもん。
多分そういう心理を持った人たちをとがめてもやはり、
『頭の固い器量の狭い奴』
等と陰口をたたかれるのがオチなのでしょうなァ・・・。

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【 2009/01/16 23:56 】

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ひとつの分岐点 ~ゴー宣・分析~
『権威よ、死ね!』というフレーズで始まったゴー宣に転機が訪れたのは、第4巻から。
この巻で小林氏はカリスマを自称し(あるいは請負い)、読者に進むべき道を示そうとします。
ゴーマニズム宣言・第4巻

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【 2008/12/20 23:28 】

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ピエロの行き着くもの ~旧ゴーマニズム宣言第2巻・分析~
さて、久々のゴー宣分析。
研究もひとまず終わったし、今回は旧2巻を。
この漫画の栄光と没落を見ることで、何が多くの若者の心をたきつけたのか、なぜ没落したのか、人をひきつけ、影響を与えるにはどうしたらよいのかがわかるような気がするんで。

「はっきり自分の考えを言うと、何でこんなに脅し文句が来るのだ!?」

この言葉から始まる旧ゴー宣第2巻『絶対個の彼方へ』
ゴー宣2巻

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【 2008/11/08 23:40 】

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高橋留美子対小林よしのり(旧ゴー宣・第1巻分析)
高橋留美子のヒット作である『らんま1/2』と
小林よしのりのベストセラー『おぼっちゃまくん』。

らんま1/2 おぼっちゃまくん


らんまファンが小林よしのりに抗議の手紙を送り、小林氏が『らんまマニア』に批判したことがあったと、ゴー宣第1巻にあります。

てなわけで、ゴー宣第1巻の分析は『やっかいだぜ!らんまのマニア』中心に行きたいと思っています。
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【 2008/07/04 23:22 】

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