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妻とエルムの亡骸を破壊され、茫然自失・・・かと思いきや、新しき家族とエデンを作るため、古い家族であるアシュヒトを排除しようとするDr.リヒター。 本当の狂人と化した彼。というかあきらめが悪すぎる。 結局『自分自身が揺らぐ』ことを恐れているだけなのかもしれないが。
そしてひたすらにアクション。 エルムの鬼太郎風髪の毛針は初披露だね。 発動した後エルム自身はつるっぱげになるのはコミカルだけど。
その中で、エルム母が致命傷・・・。 胴体からショートが起こっているあたり、電極を破壊されたようだが・・・。 「ママじゃない」と言っているあたりは彼女らしいけど、最後の最後で母らしい言葉をかけた。 やはり付き合いが長いと他人とも思えなくなるわけか。
そして人造蠅から逃走するアシュヒトとエルムがたどり着いた部屋が、偶然にもグロースの部屋。 Dr.リヒターが直接その部屋へやってくると、出てきたのは酸素吸入器をつけたグロース。 なんだ、瀕死の重傷で寝たきりなのかと思ったら、ちゃんと歩くことはできるのね。 永遠の命を提供してくれと頼むグロースに対し、家族優先とするDr.リヒター。 その中で、アシュヒトはリヒター家のすべてを捨て、人造人間研究の一切から引くと言ってくる。 激昂したDr.リヒターは聞いてなかったみたいだけど。 争いがヒートアップし、ついにグロースとDr.リヒターはお互い対人造人間用グレネードを発射して相打ちに・・・・。 こりゃあ、理想郷としてのポーラールートが復活する可能性はゼロだね・・・・。 最期にDr.リヒターは、誰もいなくなったグロースの部屋でひたすら誰かの助けを求めて叫びまわる。 ピーベリー、シャッテン、自分の息子、永遠の命の法が失われないために誰にともなく助けを求めまわる。 ある意味狂人にはふさわしい最期。
2人きりになったエルムとアシュヒトは、夢の中の人間のエルムとの絆を再確認。 再び人間のエルムと会うことを話して眠りにつくエルム。 かりそめの平和な時といえようか。 これから先は、ヒューリーとの接触を避けて、2人で静かに生きていくのかな。
一方、ジョンとアバーラインは、地下試験場で奇妙な物体を発見する。 死体卿のなれの果てか、骨・消化器・目・口・鼻がでたらめに飛び出ている。 となると、死体卿は『胚機能特化型』なのか?(細胞機能特化とも思ったが)
てなわけで、再びエンバーミングは秋まで休載。 その間に載せられる志々雄の物語はピカレスク・ロマンとしては面白そうだし、SQでしか連載できなさそうだからいいかもしれないけど。
再連載以降、一度も登場しなかったヒューリーとDr.ピーベリー。 やはりヒューリーと関わりを持っていたレイスとエーデルの物語退場が、出番を少なくさせてしまったような気がする。 (ジョンの登場が倫敦編と遅かったこともあるだろうが) エグゾスケルトンを装備したレイスが、執拗にヒューリーたちを付け狙うターミネーターキャラとして生き残っていれば、もう少し出番もあったかも。 まあ、今度の再連載時には大改造を受けて誕生するか(ぶっとい運動神経が浮き出ている、じゃあ雪代縁の狂経脈とかぶっちゃうけど) 再登場のキーは3つだろうな ①ポーラールートを脱出した難民たち ②大教会外部で置き去りにされたスカベンジャー ③瀕死状態のタイガーリリィ
彼らとどんなドラマを作るかが、最終決戦前の重要なカギかも。
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本物のエルムは10年前に死んだ状態でずっと保管され、人造人間のエルムはほかの未成年の死体を集めて作ったキメラ型人造人間。イレギュラーにして完成度も低い。 そんな中、人造人間エルム(以下『7(ズィーベン)』)が目覚め、人間のエルムと対面する。 子供のように無邪気でアホの子である7は、寝ているあいだずっと人間のエルムと話していたという。 人間のエルムは、やはりアシュヒトと会いたがっていたらしい。 アシュヒト自身が人間のエルムと会いたがっている以上は自分の負け、と自分の役割を終えたとさとる7。 泣きながら言う姿がなんとも健気。
ゲバルトもまたお役御免と7を破壊しようとするが・・・。 アシュヒトは感じ取っていた。 虚無から作られた7は人格も記憶も最初からなかったけど、アシュヒトとの10年間の付き合いが、アホだけど、純粋で元気な性格に育て上げたこと。 そして今の自分には、7が良き相棒で恋人であり、10年前のエルムを受け入れる余地がないということを悟る。 そしてアシュヒトの決断は・・・
装置の破壊!!
それによって、ダリアもエルムも消滅していく。 それは彼にとって、過去との決別でもあったわけね。 あくまで彼は7と共に生きていくと。 でもそうなるとヒューリーとの約束はどうなるのかということになるな。 ヒューリーは『7は最後に殺す』と言っていたけど、もう死人蘇生は不可能と分かったわけだし。 彼と直接対決ということになるのだろうか。 しかしピーベリーの立場がないなあ。彼女がいなくてもほかの人がゲバルトに復習しているわけで。
一方、ゲバルトもエデンの崩壊で揺らぐ・・・と思いきや、 自分なりの力でエデンを作り出そうとする彼。 まずはアシュヒトに襲い掛かるわけだけど、ひょっとして人造人間にするつもりか? まさに『人造人間に関わるのは悪人か狂人のどちらか』というわけか。
ジョン=ドゥやアバーライン・死体卿の出番がないけど、もしかしてゴタゴタしてる?
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Dr.リヒターの究極の八体が『自分の力を示すためのデモンストレーション』に過ぎず、(だからタイガーリリィの破壊も躊躇なかったわけか。となるとピーベリーの復讐は一体・・・。ヒューリーの存在意義も疑わしくなるなあ。) ゲバルトの本当の目的は、人造人間の研究を経て人間に永遠の命をもたらすことがわかったアシュヒト。(グロースも永遠の命を求めていたな。) アシュヒトは一旦父に手を貸すのを断るけど、本物のエルムもまた、10年前に殺された状態で保存されていると知った。 この時、考えが変わるか否か。 所詮人造人間のエルムはあくまで『身代わり』に過ぎないわけだが、もしこの方法が成功して人間のエルムが蘇った時、2人が会うことがあるのか。
アシュヒトの母・ダリア=リヒター。 エルムたちと家族ぐるみで付き合ってたものの、病気で死亡し、20年間ずっと培養液の中で保存されてきた。 Dr.リヒターの研究が成功すれば、選ばれたものとして不老不死のダリアが蘇る。 そしてゲバルト自身とアシュヒト・エルムも人造人間となり不老不死となり、それによってエデンが形成させる。 選ばれた人間が不老不死を手に入れるこのエデンは、人間たちにとっては天国だということらしい。(ちなみに死体卿のパラダイスは、人造人間が頂点に立つもので人間は人造人間の材料でしかない人間にとっては地獄ということらしいが・・・。)
・・・とはいうものの 『人造人間は死者蘇生でも不老不死の法でもない』 『人造人間に関わるのは悪人か狂人のどちらか』 というように、死者蘇生の観念を否定するこの漫画ってなんなんだろうって思えてくる。 全てはアシュヒトの決断、死体卿の実力発揮、そしてヒューリーとピーベリーの葛藤と決断にかかってくるんだろうな。 エルムの母型人造人間もエルムを初めて名前で読んだ。 やはり愛着がわいてきたんだねえ。
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早撃ちでリリィの額の眼球を抜き、そのショックで飛び出てきた急所である2つの電極ボルトのうち片方を破壊するジョン。 止めを刺そうとするジョンをアバーラインが止めると、リリィはどこかへと去っていく。 Dr.リヒターによれば、『もう持たず、やがて体も壊れる』ということだろうけど、 おそらくスカベンジャーもリリィも、ヒューリーによって完全破壊される可能性が高い。 リリィの場合はおそらく、最後にDr.ピーベリーに助けを求めるんだろうけど、復讐鬼のピーベリーがそれを受け入れるはずもなく、ヒューリーによって始末される・・・となりそうだな。 そうなってしまったら切ないけれど。 そして狂ったグロース・・・ではなく、死体卿に手紙を渡すことになったアバーライン。 まあ、これで死体卿が改心したら面白く無さ過ぎるけどね。 おそらく読まれずに握りつぶされるか、異形の化物とかした死体卿に破壊されるんだろうな。
最初自分の予想していた展開では、エルムの悪夢という形で、 『ピーベリー追放からジョンの再創造と機動暴走、エルムの死と再生まで』 が描かれると思ったんだけど、全然違った。 アシュヒト達も人造蠅から戦いの動向を知り、地下の研究室に向かう。 てなわけでエルムはあっさりと修復・・・となったんだけど、 再会直後に号泣するDr.リヒター・・・。 もうちょっと冷徹なイメージがあったけど、意外に子煩悩? このあたりは冷徹漢だけどエルムのことになると動じるアシュヒト似なのかも。
そして究極の八体があくまでも自分の力を示すデモンストレーションに過ぎず、本当の目的、人間の『永遠の命』を探求することにあったと知るアシュヒト。 培養液の中にいる女性は、予想は付いてたけどアシュヒトの母親。(彼女がザ・ワンの花嫁という可能性もあるかも) 『私の家族は妻と息子だけ』という伏線がここで実ったわけだ。 おそらくここから先は、ジョン(=ザ・ワン)と死体卿の直接対決ということになりそうだけど・・・。 アシュヒトとDr.リヒターのドラマはどう展開するのかな。 (ヒューリーとピーベリーの再登場も近そうだ。)
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1ヶ月の休載を経て、再び載ったエンバーミング。 和月伸宏先生、もう漫画家としての体力がもうないんじゃ・・・・。
最後の防衛線を渡りきったジョンと、タイガーリリィの交戦が始まる。 感覚と身軽さとで茨の十字をかわすリリィ。 そこに意外な人の手助けが入る。 Dr.リヒターである。
Dr.リヒターは、傷を負ったエルムを修理してやるとジョンたちに持ちかけ、一方でリリィの眠っていた真実の記憶を呼び起こし、彼女を動揺させる。 「自分の家族は妻(劇中に登場していないけれど、44話で登場した培養液の中の女性が彼女? ザ・ワンの花嫁にも思えたけど)と子だけ、人造人間は作品に過ぎない。」 と言い切るDr.リヒター。 エルムもリリィも彼にとっては『作品』なんだろうけど、エルムの命を優先させたのは、やはりアシュヒトの親としての情なのだろうか。
リリィは覚醒時、死体卿に拾われ、稲妻の兄弟のNo.2といわれて彼に心酔し、10年間彼に仕えた・・・。 というのは死体卿が行った光彩点滅催眠によって作られた偽の記憶で、本当は彼女を含むDr.ピーベリーの関連する事業が全て破棄され、死体卿がDr.リヒターと再会する1年前まで彼女は目覚めなかったと。 ・・・あれ、リリィが初登場した際にはピーベリーのことを覚えていないといっていたよね。 あれも偽の記憶だったのだろうか。 おそらく5年前の究極体反乱のことも記憶にないはず。それも死体卿が催眠で記憶を植えつけたと思われるが。 脳神経を改造する技術に長けていたピーベリーに作られたリリィは、ヒューリーと同じく生前の記憶が、実は残っていたとか。 とはいえそれもちょっと強引な気が・・・。
時系列を整理すると、 10年前・・・ザ・ワン覚醒。 ピーベリー追放。 ジョンが機能特化型人造人間6として再創造。 ジョンの起動暴走・エルム死亡。 エルム、機能特化型人造人間7として創造。
5年前・・・トート=シャッテン(死体卿)、人造人間に。(このときに機能特化型8として創造されたものと思われる。) Dr.リヒターの究極体反乱。ポーラールートの生活機能全崩壊。
混乱する頭の中で、最後の力を振り絞り、死体卿に受けた光彩点滅催眠をジョンに放つリリィ。 しかしそれは効かず、そして第3の目を抜き取られた・・・・。(あれ、人造人間の急所は電極ボルトだよね。) 考えてみればジョンの右目は機能を発揮していない上に、動揺しっぱなしの状態だったからね。
サブタイトルの『Dead body and tears(死体と涙)』の涙とはこのことを言っていたのか。 でもそれでも、リリィは全てを否定する気にはなれなかった。 たとえ死体卿に迎え入れられ、稲妻の兄弟のNo.2と言われたことが幻にせよ、記憶が偽物にせよ、そうと信じて感じた幸せと、それによって務めた忠誠と働きは真実であったのかもしれない。
『おっしゃるとおり、言葉に形はござらぬ。伝承の真偽を明かす物は、形あるこの刀でござる。 しかし、形なき言葉には、信ずるものの心がこもっており申す。 よしんば刀が偽物にせよ、伝承が嘘にせよ、そうと信じて勤め努めた祖宗の心に勝る真実はござりますまい。 その努力精進さえも過ちと断ずる勇気を、拙者は持ちませぬ。』 浅田次郎作『憑神』
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