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成親は西光の死を知り、落胆し、成上がった平家を怨む。 『愚管抄』によれば、成親は「何事ニカメシノ候ヘバ見参ハセン(何事か御召しがあったので参りました)」と公卿座にいた平重盛・頼盛に挨拶して奥に入ったところ、清盛の家人・平盛俊に縄をかけられ部屋に押し込められてしまい、驚いた重盛が「コノタビモ御命バカリノ事ハ申候ハンズルゾ(今度もあなたの命だけはお助けするようにと、父の清盛に頼んでみます)」と励ましたという。
備前の国に流罪となった成親は、重盛から衣類を送られるなどの援助を受けていたようだけど、どうやら食事を与えられずに殺されたようである。(愚管妙) どうやらこれが重盛にも暗い影を落とすようだ。 清盛に重盛は不満をぶちまけるが、清盛は自らが頂点に立つことばかり考えてるようで。 すっかり年をとるにつれて、夢がしぼんじゃったような・・・。 権力を究めるにつれて孤独になっちまったもんだなあ。
もはや清盛と後白河法皇の溝は修復できないぐらいに深まってしまったようで。 泣き笑いをする法皇にはどんなおもいがあったか。
一方で頼朝は、政子と結婚すると時政に打ち明ける。 意外と今回はあっさりと折れたなあ。 武家の棟梁になることを夢見て・・・ということらしい。 やはりある程度上昇志向があった方が認められるのか。
さらに遮那王も、出家はしないと常盤に打ち明ける。 源氏の人間として平家を倒し、棟梁を目指すと。 実の父と思った清盛に刃を向ける気持ちになったのも、やはり源氏一族だという自覚があるからか。 生みの親より育ての親というけれど、違うこともあるんだなあ。 弁慶と遮那王が二度三度あったのは、運命と言い切る弁慶だけど。 こうして、弁慶が見守る中、遮那王は元服して義経と名乗る。 そのスタイルになるとなかなか違和感ないねえ。 『義経』という名は今回は常盤が考えた名前と言う設定だけど。 実際のところはどうだったんだかねえ。
そして、徳子がついに天皇の子をうむ。 これがのちの安徳天皇になるわけね。 そしてここぞとばかりに後白河法皇を清盛亭に幽閉するという暴挙に・・・。 もはや力しか信用できないというふうになっているなあ・・。 どんどん夢がなくなって、権力欲だけが前に出ているような・・・。 そして、重盛が法皇の輿を守るということになったけど ある意味清盛への反抗とみていいな。
そして忠と孝のはざまで慟哭する重盛。 結構ストレスたまってるしなあ。
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平家政権の緩みの象徴となった、鹿ヶ谷の事件。 この謀議は随分と乱暴だったらしく、平家物語によれば、話の時に徳利(瓶子)が倒れると、 『瓶子(平氏)が倒れた、これは幸先がいい』 ということになり、 西光が『首をとるにしかず』とその鶴首を割ったとなっており、ドラマでもこの通りになっている。
多田行綱がこれを密告したというのも史実通り。 (ためか、歌舞伎では藍染を塗った悪役・風見鶏として描かれることが多い。) その前に全国の源氏に頼んで反乱を・・・という役割も描かれるとは思わなかった。
そして頼朝のところにもそのうわさは流れるが、頼朝は相変わらず大人しい。 やはり慣れって怖いな・・・。
西光は清盛捕縛と同時に源氏の旗を掲げ、形勢を逆転させる予定だったらしい。 どうやら清盛に期待したが故の失望だったようだ。 武家の犬に実権をとられることが、何とも我慢ならなかったらしい。 信西の側近ではあったけれど、心は清盛と共ではなかったようだ。
そしてついに発覚。西光・成親は捕縛。 分不相応に反乱を企てたと罵る清盛に対し、高平太と呼ばれた清盛が太政大臣にまでなりあがって・・・と毒づく西光に激怒して、拷問にかけた挙句斬首、というのが平家物語のくだり。 一方でこのドラマでは、清盛が信西の志を継いでいるのではなく、清盛が王家に復讐をしていると罵った西光に清盛が激怒したということになっている。 その思いがなきにしもなかったのであろう。 同時に、武士が頂きに立つという野望もあったはずだ。 醜きことにまみれようとも頂点に立つ。 それをぶち壊した西光が許せなかったのだろう。 どんなになっても武士は武士、粗暴な集団と罵倒した西光の口を清盛は裂いて、首をはねることになる。
そして一方、頼朝をほおっておけない政子は、武士の誇りを忘れたのかと挑発し、頼朝に刃を向ける。 髭斬りの太刀を渡されたのは、武士の魂を忘れるなということではないのか。 それだけ気にかかっていたんだろうねえ。政子は頼朝を。
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今回の政子は伸びやかな人物のよう。 思ったことをバンバン言う人物。 その伸びやかさは流罪生活の頼朝の心を刺激するんだろうけどねえ・・・。 変わらぬ日々を送っていた頼朝は、どこで発起するのやら。
滋子の供養の法要を行おうとしていた矢先、西光の息子が寺との小競り合いを起こすという状態に・・・。 そしてまた僧が強訴と・・・。 ほんと、結構な結社になってるなあ。 結果は重盛の失態で、神輿をいるなどと大騒ぎに。 多分手違いだったんだろうと思うけど。
清盛と後白河法皇。 2人の間ではドロドロした思いが交錯して、どちらがトップに立つかの争いが繰り広げていたのではないか、と思う。 今回の強訴でも、自分が解決したいという思いが後白河にあったはずだ。 そのなかで乙前のアドバイスに、何を思ったのやら。
どうやら裏工作は清盛がしていたらしい。 西光の息子の力をそぎ、後白河の力をそぐというかなりなばくちに出てきた。 おそらくこれが西光の離反、そして鹿ヶ谷事件へとつながっていくんだろうなあ。 老獪な政治的駆け引きにも清盛は長けるようになったんだろうけど、その代償も大きい気がする。
清盛は天皇を支えるのをやめ、天皇になりかわってトップに立つつもりらしい・・・。 その後安徳天皇の親せきとして、権勢を握るんだろうけど・・・。 上昇志向がまずい方向に行ってないか?
そして自分が源氏の子だと知る遮那王。 そこからどうでる? 笛を吹きながら何を考える? 共鳴する兄弟の笛は、源氏蜂起を暗示するのか。
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兎丸が犠牲となりつつも、大輪田泊が完成しかけた。 でも本当は清盛は、誰よりも兎丸が好きだったから、完成の時を見たがっていたのではないかと思う。 そんなおり、滋子が病(記録によると腫れものだそうな)にかかり、なくなる。 はかなき歌のタイトルには、『人の命のはかなさ』も入っているような気がする。
政子は頼朝に興味を持ったのか。 やはり源氏の御曹司という肩書が気になっていたのか。 頼朝の思いの火付け役になる・・・と思いきや、まだ頼朝の心には響かなかったようで。 でもどうやら、頼朝も武士としての矜持は捨てていないみたいなんだよね・・・。
さて、維盛と資盛は舞の練習。 歌舞と弓の練習・・・なんだけど、すっかり宮廷貴族化しちゃってるなあ。 (舞の名手になったおかげで維盛は『桜梅少将』と呼ばれる美男になるんだけど・・・。) 平家一門がおごっているのが見て取れるなあ。 どうやら西光も成親もそれが気になってるようで・・・。 宮中行事を拒まれたことで恨まれてしまう。 人間はどこまでも感情の生き物だ・・・。 とうとう西光と成親も互いに相談し合っているようで・・・。 鹿ヶ谷フラグか。 でも滋子には皆好感を持っているようだね。 彼女がなくなったことで、平氏と朝廷の緩衝材がなくなってしまうのか。
元々後白河は雅なところがあって、梁塵秘抄という歌も編纂したりしている。 歌好きな後白河の一面がよく見える。 その性質も相まって、平家が接近できたわけね。 狐と狸のばかし合いもしばらく続きそうだが。
滋子の最期は何ともあっけないなあ。 随分唐突感がぬぐえない。 大きな存在だっただけに、後白河法皇も辛かったのだろう。
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さかしきこと好みて、たびたび流されなんどしたりし者
これが愚管抄で言われた時忠の評だが、なるほど、かなり陰湿な策を練ることが多くなっていったようだ。 元盗賊の兎丸からも反感を買われたようで。
だんだんと清盛は、目的のためには手段を選ばなくなってきてるようだ。 けがれ仕事を時忠に負わせて、自分は宋との国造りに奔走する。 確かに権謀術数が渦巻く朝廷では、厳しい手打ちも必要だろうけど・・・。
今回は後白河法皇の言葉遊びを機に、清盛の娘を朝廷に入内させるという手段に出た。 かつての摂関家が政治的権力を強めるために行った方法だが、当然貴族達は面白くないということで、 以仁の妻のごときは、あらぬうわさを書きたてて清盛を孤立させるという手段に出てきた。 それを止めるために、時忠の所業を黙認して禿にスパイ活動をさせるという手段に出る。 多少清盛は、後白河法皇との狐と狸のばかし合いに焦っているのではなかろうか。 野心をあけっぴろげに見せびらかす清盛と、それを食って思いのままにしようとする法皇。 さらにその中で破って見せるという清盛。 武力と財力、情念が渦巻きながら、一触即発の危険状態だといっていいかもしれない。
その中で、平家一族さらに思い上がりがひどくなっているみたいだけど・・・。 どうやら重盛は激務に耐えかねているようで。
後白河法皇は何を考えているかわからない怖さが魅力と言っていいかも。
伊豆にいた北条政子は、最高権力者である清盛を怖い存在のように思っているようだが・・・。 そりゃあいつの時代もある程度の怖さがないと
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