もう恐れるな夏の暑さを、荒れ狂う冬の寒さを。
汝、この世の勤めを終わりし者よ。
十分な報酬を得て、家に帰る。
輝ける若者も乙女らも、塵払い人のように、すべて塵に帰る。
王笏も学問も科学も、それに従う者は皆、塵に帰る。
シェイクスピア作『シンベリン』大河ドラマの最終回は主人公が一生を終えるとき。
本当ならこう言いたいところなんだけど、どうも不評続き。
主人公に感情移入しにくかったそうな。
まあ、多少考え方と行動に矛盾が見られたからな。
まあ、本編に行くか。
冒頭ではいきなり、息子の死。
若死にするというのはどんな心境なんだか。
父を尊敬し、やることが多かっただけに、無念だったろうに。
僕に当てはめて考えると・・・・。
ノーコメントかな。
でも少なからず、子は親の影響を受けるもの。
自分では気が付いていなくとも、いつの間にか親の性格と考え方、そして趣味、読む本までをも受け継ぐことがある。自分も父の影響を受けて、司馬遼太郎や堺屋太一の本を読み始めたんだもんな。
子供をすべて失ったお船は、上杉景勝の子供を育てるため京に向かう。
景勝の子を自分の失った子と見たかったのだろうな。
母としては当然の心理。
大坂の陣の翌年、家康は75の生涯をとじる。
裏切られた彼は、人を裏切る狸となり果てたんだけれど、兼続に向かっては「自分も実はいい奴だった」とはいってほしくなかったな。
あくまで自分の気の許せる人間(秀忠など)に言ってほしかった。
家康も実は兼続を認めていた、という結論なんだろうけどさ。
一方、私財を投じて藩校を建てた兼続は、妻・お船とともに越後への旅へ。
人生の終りにすべてを振り返る、これは人情なのかもしれないね。
その中で彼は、直江家を終わらせることを告げる。
ともあれ、お船もよく認めたなあ。
ラストは篤姫を思わせる、本当に静かな終わり方。最近はこういうラストが多いなあ。
まあ、徳川泰平の世になった今、ど派手な最期というのもねえ。
でも残すものは、藩校と、忠臣という名。
人はすべて塵に帰るが、ちゃんと残すものは、大なり小なりある気がする。
今回のおまけ菅野美穂と見つめる スペシャルドラマ「坂の上の雲」 1/3