作者和月信宏が『自身の悪の美学の集大成』と呼んだ志々雄真実の物語。
ドキドキしながらジャンプSQ8月を開いたりして。
まずは、いきなり裏切られたねえ。 最初は 『志々雄が全身を焼かれてから、仲間を集めて蜂起するまでの物語』 かと考えていたんだけど、舞台は明治10年、すでに体を焼かれた後の物語であり、 『志々雄と駒形由美の出会いの物語』 登場人物の構造も、主人公・ヒロイン・悪役(ないし敵役)の3拍子という、バトルアクション物ではよく言えば王道、悪く言えばべたな感じ。(第零幕もそうだったなあ) ただ、志々雄が主人公なので、いわば『勧悪懲悪』の物語になっており、自分の心の琴線に触れていたりする。 (青年誌にもピッタリかもね) もともと僕は、ヒーローにダーティーな側面がある物語が好きだったから。 主人公:志々雄真実 「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬ」 という自らの方程式はこの時点から持っていたようで。(前篇ラストで由美の友人・華火が弘原海兵団に殺されるシーンと合わさってインパクトが強くなっている) 宗次郎はともかく、佐渡島方治がこの時点で仲間だったのはびっくりしたけれど。 この時の法治は志々雄に対する異常な忠誠心はまだ持っていないはずだけど、実務をとつとつとこなすのは職人気質ゆえか? 由美を自らのものにするわけは、彼女が『強者』だったからだろうけど、どの点でそうだったかが今回はっきりするのかもね(吉原の昼三、つまり一番の人気者である時点で『強者』ではあるんだろうけど、それだけではない気がする。) ヒロイン:駒形由美 今回は彼女の過去もより判明した感じ。これも王道らしく、悲劇のヒロインとしてだけど。 商家に生まれながら、家族を全員惨殺され(おそらく犯人は志々雄)、吉原に身売りされたと。 同じ境遇にあるものが惹かれあうのは当然なのか、明治以降に身売りされた華火と、明治に生まれてから吉原に来たあかりとかがりを姉妹のようにかわいがっている感じ。(身請けされるときはこの3人も一緒だと) 吉原の花魁でありつつもプライドはこの時点から持っているようで、本編でも語られていたマリア・ルーズ号の事件以来、明治政府を嫌っていると。 なぜ自分はともかく、華火やあかり・かがりまでもがこんな目に合うのか、というのは人の永遠のテーマだね。 それに対する志々雄の回答 「お前たちが弱いから悪い」 というのも。(宗次郎の話を思い出すなあ) 家族に関する恨みを超えて、志々雄になぜ惹かれたのか、ちょっとこの段階では想像できないけど。 悪役(敵役?):一ヶ瀬鮫男 作者和月の考えでは、美学や信念の濃い人物を敵役、そうでない人物を悪役と分類しているけど、彼は、 『西南戦争を無傷で勝ち抜いた自分たち強者に、弱者はすべてを委ねていればよし。 強者の領域に弱者が入るのは許せない』 と、それなりに信念はある様子。 後編で志々雄に始末される可能性は大だけど、そのときにへたれるのかね。(志々雄を見下していたようだけど) 門外不出の甲鉄艦(おそらく志々雄が煉獄艦とするんだろうけど)の図をなぜ持っていたかはわからんが。 それを見られただけで華火を殺すあたりは和月の作品らしい悪役。 (余談:史実では甲鉄艦はこの時すでに東艦と命名され、西南戦争の前の佐賀の乱に出ていたりしてたとか) 後編は志々雄と一ヶ瀬のアクション中心の物語になるだろうけれど、由美はどのように志々雄になついてゆく? |
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再びるろ剣のマイブームが盛り上がって買ってきた、『るろうに剣心公式コミックアンソロジー』
ブックオフで500円。安かったですよ。 (ちなみにけいおんとSchool Daysの公式ガイドブックもありました。いつか買おうかな。)
いやあ、笑ったり感銘を受けたり、いろいろでしたね。 『to loveるダークネス』の矢吹健太朗先生のイラストもあり。 ![]() すっごい綺麗なイラスト・・・。 基本的にアクション系統の話はなく、平和な日常の中で剣心たちがいろいろと活躍する・・・という話が多いんですけど、ホント色々。 柴田亜美さんの4コマはホントシュール。 ![]() ![]() ・・・さすが『南国少年パプワくん』の作者だけはある。 確かに見方を変えればそういうふうにもなるがね。 笑ったのは宮下未紀の『よくわかる経済事情』 ![]() ![]() お前らいつの時代の人間だと思った。 考えてみれば大の大人が2人もいて双方働いていないというおかしな状況だからなあ。 作者は『パチンコをする剣心』をかきたかったそうだけど、それじゃあまんま銀さんになっちゃうから・・・。 ハートフルだったのは、すずはら篠さんの『花は桜木 男は㋚』 左之助が花屋(似合わないなあ・・・。)を目指すというストーリーだけど。 銀魂のような人情話でした。 ![]() この調子で平時では働いてればいいのに。 空知英秋(『銀魂』の作者)が描く剣心・・・というのも見たかったけどなあ。 尾田栄一郎や武井宏之の描いた剣心というのはあるらしいけど・・・・。 そして最後は、和月先生の元アシスタントである鈴木信也氏の現場エッセイ。 ![]() 漫画家ってそれだけ大変な仕事なんだなあとしみじみ思う。 なかなか密度は濃かったけど、やっぱり空知英秋の描く剣心が見れなかったのは残念。 和月伸宏はジャンプ漫画家の中で一番好きなんで、これからも期待しています。 |
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